人気ラノベの通称「俺ガイル」の最終巻の感想です。発売後3ヶ月経過したので投稿しますが、ネタバレありなのでご注意を。
前半は布石
まず巻頭カラーの総武制服姿の小町に涙腺が緩くなってしまいました。
かわいい。
さて大人気ラブコメも最終巻。
前半は、八幡が由比ヶ浜家に行くなど、結衣との距離が縮まっていきます。
13巻までを読んで由比ヶ浜ルートはほぼないと思っていたので、序盤は楽しく読みながらも疑念を拭いきれず読み進めていました。
このままで十分幸せなんじゃないか
そう、読者も思わざるを得ません。
結衣は奉仕部入部以降、終始魅力的に描かれています。
でも、あるシーンの 「本当にこれでいいと思う?」 という台詞で、読者は目を覚まさせられます。
序盤の結衣との諸々は、離れてこそ雪乃と離れたくないと八幡に意識させるためのギミックだったのかな、と個人的には思っています。
あと、ガハママかわいい。
いろは×小町 の組み合わせが凶悪
そしてとうとう訪れた、いろは・小町の邂逅。
ほぼメインの2人ですが、登場からこれまで間接的にしかお互いの存在を知らなかったんですよね。
この2人の掛け合いはいい意味で裏切られました。
そうくるかと。
これはアニメで絶対みたいし、短編集でも描かれそう。
俺ガイルは八幡の成長物語だった
偽プロムの実現は、八幡が誰のためでもなく、自分のための単なるわがままでやった ことというのは、終幕にふさわしい展開だったと思います。
俺ガイルがこれほどまでに人気を博したのは、主人公・比企谷八幡の 自己犠牲 がスマートに、かつ魅力的に描かれていたからです。
奉仕部の活動を通して、数々の依頼を解決(解消)する顛末がこれまで滔々と描かれてきたのですが、根本にあるのは 奉仕部(あるいは八幡個人)への依頼 なんですよね。
だからプロムの決着のつけかたは、これまでの物語とは全く違う、八幡が自分に正直になって一歩を踏み出す展開になっていることが感慨深いのです。
正直、はじめは読みながら「は?」って思いましたが、読者にそう思わせる 彼らの間違いっぷりがこの作品の根幹だった のだと再認識しました。
陽乃・ははのんの描き方は賛否両論ありそうですが、あれだけ引っ張ると、何をやっても「あーいえばこういう」感じになりそうです。
個人的に、着地点としてはまあ仕方ないのかな、と思います。
そして、ここからとてもエモい展開になるわけですが、私にとって八幡の「だからお前はそれまで待たなくていい」 が、作中屈指の名台詞でした。
このあとの告白のシーンより、巧いと思いましたね。
とはいえ八幡から告白したのは、本当によかった。
そのための前半の結衣との長い二人の時間だったし、八幡と雪乃の2人らしい面倒くさいやりとりでした。
また、この作品の重要なキーワード・・・「本物」。
その答えとしては妥当なものだったと思います。
ここに期待してしまった人は受け付けなかったでしょうが。
・・・というか、作者も「本物」の風呂敷たたみは大変な思いだったでしょう。
なによりデレたゆきのんが可愛すぎる
こうして、曰く「パートナー」になった2人が描かれるわけですが。
まさか本編で、こんな甘い描写が見られるとは。
二次創作では当たり前のように描かれてきた、いわゆる「八雪」そのものです。
特に、タピオカのシーンは胸に来るものがありました。
ラストシーンについて
ラストシーンも賛否両論だと想像しますが、私は元々の構想がアレだったと思います。
結局の所、結衣が作者にとっても予想以上にヒロインしちゃった ことで、わずかにモヤモヤを読者に与えてしまったのかなぁ、と想像します。
作者のキャラクタ造形力の故の悲劇とも言えそうです。
作者自身は大変だったと思うけど、これだけの人気作品を巧いことまとめたと思います。
ウルトラCを期待していた方も多いでしょうが、十分なクオリティでしょう。
渡先生、本当にお疲れ様でした。
俺ガイル短編集ネタ予想
本編はこれにて完結ですが、このあといくつか短編集・アンソロジーが刊行されます。
楽しみですね。
※本ページのアイキャッチ画像は、小学館::ガガガ文庫 より引用。