村上醍醐です。
暑い日が続きます。気象庁の統計によると、平均気温が時系列で上昇傾向にあることも示されているデータもあり、このままでは熱中症の事例は増えていく一方でしょう。
痛ましい事件も起きており、子どもたちを守るためにも、もっと世間が熱中症の実際について理解する必要があると思い、筆をとってみます。
調べてみたところ、環境省の「熱中症予防情報サイト」がかなり詳細にまとまっていたので参考にしました。
真夏と梅雨時に要注意~熱中症になりやすい時期~
下表は東京消防庁の集計した月別の熱中症による救急搬送の人数です。7月と8月にピークがあることがわかります。
出典:http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201705/heat.html#M01
1.真夏の気温が高いとき
7月~8月の気温が高いときに熱中症の患者数が増加します。傾向として、真夏日(最高気温30℃以上)に発生し始め、猛暑日(最高気温35℃以上)では急激に増加します。また熱帯夜が続くと、体温が高い状態が継続し、熱中症が起こりやすくなります。
2.梅雨の晴れ間や梅雨明けの急に暑くなったとき
この時期はまだ身体が暑さに慣れていないため、上手に汗をかくことができず、体温調整がうまくできないため、発生が増えると言われています。
熱中症の起こる仕組み
人間の身体は、平常時は自律神経系によって、体温が上がっても、汗を蒸発させたり、皮膚の温度を上げたりして、体温が外気に逃げる仕組みとなっており、体温調整が自然と行われます。
しかし、気温が高いと体内の熱は放散されず、湿度が高いと汗は蒸発しません。体温の上昇と調整機能のバランスが崩れると、どんどん体に熱がたまっていきます。このような状態が「熱中症」と呼ばれるのです。
熱中症を引き起こす3つの要因
「環境」「行動」「身体」の観点で箇条書きにしました。
結構注目されるのが環境面や行動面だけで、見落としがちなのが「身体」の観点だと思います。人によっても暑さに対する強弱は異なるし、同じ人でも日によって体調が異なります。「自分が大丈夫だから」「大抵の人が大丈夫だから」では事故はなくなりません。
環境
- 気温が高い
- 湿度が高い
- 風が弱い
- 日差しが強い
- 締め切った屋内
- エアコンのない部屋
- 急に暑くなった日
行動
- 激しい筋肉運動や、慣れない運動
- 長時間の屋外作業
- 水分補給のできない状況
身体
- 高齢者や乳幼児、肥満の方
- 糖尿病や精神疾患といった持病
- 低栄養状態
- 下痢や発熱、嘔吐などからくる脱水状態
- 二日酔いや寝不足といった体調不良
「熱中症になりやすい環境」は指数化されている
「暑さ指数」というもので、少しずつ浸透してきているようですので。もっと毎日の天気予報などで打ち出して、人々の対策を促す基準になっていけば良いと思います。
暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。
熱中症の予防策
熱中症を予防する方法としては、極々当たり前のものばかりですが、下記のようなものがあります。
出典:http://www.wbgt.env.go.jp/doc_prevention.php
1.上手に水分・塩分をとろう
やはり、なんといっても水分補給です。喉が乾いたらもちろん、いなくても乾きを感じる前からこまめに水分補給をしましょう。
汗と一緒にミネラルが失われるため、ミネラルも合わせて補給するとよいです。麦茶はミネラルが含まれますので、日常の水分摂取におすすめなんだそうです。
最近様々な商品展開されている塩分は日常で余分にとる必要はないそうなのですが、多量の汗をかいた際には、補給をしたほうがいいそうです。そのときには水分1リットルに対し食塩1,2gを溶かして飲むといいそうです。
スポーツドリンクは水分、ミネラル、塩分が効率よくとれ、汗をかいたときの水分補給に優れています。しかし多くの糖分も含むため、摂りすぎには注意が必要です。
またコーヒーや緑茶、アルコールは利尿作用があるので、水分補給には適していないそうなので、要注意です。ほどほどにしましょう。
2.服装を工夫しよう
吸水性や通気性の高い、綿や麻の素材が良いようです。
ちなみに、薄着の方が涼しいとはいえ、インナーを着た方が肌とインナー、インナーとアウターの間に空気の層ができ、外からの熱気を遮断すると言われているそうです。
また熱を吸収して熱くなる、黒色型の衣類は避けるといいのは。言うまでもありませんね。
3.暑さに備えた体づくりをしよう
栄養が不足すると熱中症を起こしやすくなるので、しっかり3食バランスのよい食事をとることを意識しましょう。
また、睡眠不足は熱中症を引き起こしやすくするので、我慢せず通気性や吸水性のよい寝具を使ったり、エアコンや扇風機を適度に使って、ぐっすり眠るようにしましょう。
4.小さい子どもがいる家庭では特に注意しよう
子どもは体温調整機能が未発達のため、体温が上昇しやすく、屋外では身長が低いため地表の熱の影響を受けやすいそうです。顔が赤いとき、ひどい汗をかいているときなど要注意を。
小さい子どもや高齢者、病人がいる家庭では、冷房の使用を我慢しすぎず、適度にエアコンを利用しましょう。
とはいえ、予防を広めても、熱中症をすぐにゼロにすることは難しいでしょう。「熱中症になってしまった時の対処を知っておくこと」も重要です。
自分や周りで気づく熱中症の兆候
自分でわかる症状
- めまいや顔のほてり
- 筋肉痛や筋肉のけいれん、こむら返り
- 体のだるさや吐き気、頭痛、動悸
- 汗のかき方がおかしい
他人が気づく症状
- フラフラしている、顔色が悪い
- 動きが鈍い
- 言動がおかしい
- 皮膚の異常(触ると熱い、赤く乾いている)
こういった兆候に早めに気づいて対処することが肝要です。このような症状が出たらすぐに涼しいところで休憩し、水分摂取をしましょう。
もし自力で水分摂取のできない場合、呼びかけに応じない場合には危険な状態です。すぐに医療機関を受診しましょう。
熱中症、または熱中症が疑われたときの応急処置については下記イラストがよくまとまっていますので、参考にしてください。
出典:http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_checksheet.php
まとめ
- 体調の悪い時は無理しない
- 急な暑さや湿度の高い時は要注意
- 十分な水分・塩分補給を
- 涼しいところで、しっかり休憩を
- 熱中症に早く気づき、適切な処置を
- 普段からの健康管理をしっかりと
熱中症は重症化するととても怖いものですが、きちんと対処することで予防することができます。暑さと上手に付き合って、楽しい夏にしましょう。