村上醍醐です
グラフ作成に関するエントリー4回目です
▼過去記事
良いグラフの条件
なにをもって「良いグラフ」と定義するかは議論があると思いますが、私の中では、「メッセージが過不足なく伝わるグラフ」と定義づけます。 メッセージを過不足なく伝えるためには、いくつかの条件があります。
- 見ている人の注目を引く(見る気も失せるグラフでは話にならない)
- シンプルに情報を提示する
- 見る人が間違った判断をしないよう正確に情報を伝える
まとめると、「シンプルかつ正確にデータの傾向や違い、つまりメッセージの内容を表現する」グラフが良いグラフということになります。
良いグラフを作るために構成要素を理解する
グラフを構成する様々な要素は、見る人の注意を引く上で競合し合います。 つまりグラフに含まれる特徴が多ければ多いほど、焦点がぼやけて、どこの何を見ればよいのかが分かりにくくなるということです。 グラフの構成要素は大きく3つのカテゴリーに分かれます。
- データを表すデータ要素:棒、線、領域又は点
- データの理解を助ける補助要素:表題、凡例、データラベル、目盛り線、脚注、資料出所
- データと関係がない装飾要素
1.データ要素
こちらはすでに過去エントリーで解説していますので、 そちらを参考の上、メッセージに適した要素を選択・表現しましょう。 繰り返しますが、特に気をつけるべきポイントは、「シンプルかつ正確に」です。 つまり、複数の円グラフの代わりに1つの帯グラフで表現するなど、集約的な方法でデータを表示したり、データの比較が容易になるよう傾向や違いが伝わりやすいよう強調する、などです。
2.データの理解を助ける補助要素
今回のエントリーでフォーカスするのはこちらです。 グラフを正しく理解してもらうためには、以下の補助要素を適切に表現しなくてはなりません。 実は普段あまり意識していないところなのではないでしょうか。
リストにすると下記のとおりですが、本当に当たり前の項目ばかりです。
- グラフイトル
- 軸ラベル(タイトル)
- 目盛線
- 凡例やデータラベル
- 脚注・データソース
1つずつ解説していきます。
グラフタイトル
グラフタイトルは、グラフが何についてのものなのか、短く完結に表現する必要があります。 大きく2パターンあります。
1.情報記述型
そのデータを理解するのに必要なすべての情報を提示するパターンです。 調査やアンケートの結果を伝えるタイプのグラフならこちらのパターンが多いはずです。
例:2018年4月の商品Aの売上金額・前年同月比 「何が」、「どこで」、「いつ」といった5W1Hの観点を入れ込むことが重要です。
2.メッセージ型
グラフに表われている主なパターンや傾向をストーリー化して強調する短い説明です。
例:2018年4月の商品Aは大幅売上UP グラフ要素が明確な場合やプレゼン資料で使われます。
軸のラベル(タイトル)
軸のラベル(タイトル)は、グラフに示された数値・単位(例:「%」、「年齢(歳)」、「円」)を正しく伝えるために必要です。 例:売上金額(万円) 例えば商品の売上を示したグラフであれば、(見る人が見ればわかるケースもありますが)ラベルがないと売上が百万単位なのか億単位なのかわかりません。 ただし、単位が明白な場合(例:時系列の場合における「年」)には、軸のタイトルは必ずしも必要ありません。
目盛線
必須ではないですが、グラフに目盛線(※)を追加することで、グラフを見る人がデータの値を読んだり比較したりしやすくなります。 注意点としては、目盛線はデータ要素の線よりも薄い線にしてあくまで「補助的」な要素として表現しましょう。 ※ここでは、以下のように定義します
- 目盛:軸に刻む短い線
- 目盛線:その目盛をグラフのプロットエリア全体に延ばして書き入れる長い線
凡例・データラベル
凡例は、グラフの中でデータを表現するために利用されている記号、形、色を特定するために表記されます。 ただし、グラフに表される数値の系列が一つだけの場合には、凡例は不要で、タイトルやメッセージ等で表現するほうが情報量が減りシンプルに伝わります。 また、データラベルは同様にひと目で理解してもらうため、データ要素(棒、折れ線など)の上や隣に表示しましょう。色はデータ要素と揃えるなどすると統一感があってなおよしです。
脚注・データソース
忘れがちなのですが、数値の定義や収集・集計・分析方法に関する情報を提供するために不可欠です。 場所としては、グラフの右下に書くのがよいでしょう。
3.データと関係がない装飾要素
合理的な理由・意図がない限りは、グラフの装飾要素はなるべく控えたほうがよいです。 見ている人の注意が散漫になり、メッセージを伝える妨げになります。 例として、下記グラフと上述のグラフを比較すると、どちらが見やすいかは明白ですよね。
まとめ
グラフのクオリティをあげるために、グラフの構成要素を分解し、それぞれの作法について解説してきました。 これらを意識し、精査していくことで、「シンプルかつ正確にデータの傾向や違い、つまりメッセージの内容を表現する」グラフを作ることを心がけたいです。