【読書感想】「夏のロケット」川端裕人

読書

村上醍醐です。

 

川端裕人「夏のロケット」を読んでの感想です。

 

  

内容紹介

火星に憧れる高校生だったぼくは、現在は新聞社の科学部担当記者。過激派のミサイル爆発事件の取材で同期の女性記者を手伝ううち、高校時代の天文部ロケット班の仲間の影に気づく。非合法ロケットの打ち上げと事件は関係があるのか。ライトミステリーの筋立てで宇宙に憑かれた大人の夢と冒険を描いた青春小説。第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞のデビュー作。

 

感想

これはミステリーというよりは、青春小説ですね。後半のロケット打ち上げ前のシーンはドキドキしながら読んでいました。

 

ロケットとミサイルは言葉は違えど、原理や仕組みが同じで、核弾頭を運べばミサイルになり、人間や人工衛星を運べばロケットになる――という事実は目から鱗。

遥か空の彼方を目指し、宇宙開発の先頭を切るはずのロケットが、一方でミサイルとして地上で血みどろの戦争を繰り広げているというのは、本当に興味深いし、やはり万物には光と影の両面が存在するのだと再認識。

また、安全率を99.9%から99%に落すだけで、開発予算は5分の1になるというのも衝撃的ですね。それでもやはり前者を選ぶべきなのでしょう。

 

あえて苦言を呈するとするならば、ロケットに関する講釈が少々くどいという印象。また、登場人物の会話がやや不自然。会話表現がすんなりと入ってこなかったので、話にどっぷり浸かることが出来なかったり、感情移入がしづらい面がありました。

 

それでも、少しでも宇宙開発に興味のある人にはオススメの一冊ですね。少なくとも自分は楽しく読めました。

 

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