村上醍醐です。
アンドリュー・S・グローブ「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」を読んでの感想です。
内容紹介
インテル元CEOのアンディ・グローブが、後進の起業家、経営者、マネジャーに向けて、一字一句書き下した傑作。
『HARD THINGS』著者のベン・ホロウィッツ、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグなど、
シリコンバレーの経営者や幹部たちに読み継がれ、大きな影響を与えてきた。アウトプットを最大化するための仕事の基本原理とは、マネジャーが最も注力すべき仕事はなにか、タイムマネジメントの方法、
意思決定のときにしてはいけないこととは、ミーティングはどう進めるべきか、
1対1の面談(ワン・オン・ワン)ではなにを話すのか、
人事評価はどう判断すべきか――。
マネジャーなら誰もが悩むことに答えてくれる、実践的で役に立つアンディ・グローブのアドバイスが満載の経営書である。
感想
インテルの創業者で元CEOのアンディ・グローブがマネジメントについてまとめた本。
個人的に印象に残ったのは下記3点です。
- インディケーターこそ大事なカギ
- 経営管理活動のテコ作用
- 部下のタスク習熟度別 効果的マネジメントスタイルの特徴
1.インディケーターこそ大事なカギ
著者は冒頭で、能率や生産性を上げるためには特定の作業目標に的確に合ったインディケーター(指標)に「焦点を絞って選択」しなければならないと説きます。
インディケーターは、生産の変化の諸要因を特定して、問題が発生する兆しの段階で手が打てるようにすることができるものでなくてはならず、また、インディケーターは作業量ではなく、アウトプットで測定すべきと説きます。(営業活動でいえば、顧客訪問数ではなく、受注数を測定すべき)
確かに、部下や上司へ説明するにも、測定・制御可能なインディケーターで分解しておくことは問題点やビジョンを共有しチームとして成果を出す運営としては有用でしょう。納得です。
2.経営管理活動のテコ作用
本書では、マネージャーのアウトプットを下記のように定義しており、これはマネジメントにおいて真理といっていいでしょう。
マネジャーのアウトプット
=
自分の組織のアウトプット
+
自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット
マネジャーの仕事は、自分の統括する組織全体の生産性を高めることということです。これを本書では「テコ作用(レバレッジ)」と表現しています。マネジャーの役割は、組織全体のテコ作用をいかに高めるか、それに尽きます。
秋元康氏や、堀江貴文氏などの著書でも言及されていますが、ビジネスマンは「カルピスの原液」のような存在であったりアウトプットを目指すべきだという考えですね。原液を作っておけば、周囲がそれを薄めて拡散してくれる。そういう仕事の仕方を心がけたいです。
3.部下のタスク習熟度別 効果的マネジメントスタイルの特徴
効果的なマネジメントスタイルを決定するのは、基本的には部下のタスク習熟度である、ということです。具体的には下記の通り整理されています。
低い
→明確な構造(仕組み)、タスク志向・・・「何を」「いつ」「どうして」を示す
中程度
→個人志向・・・双方向通行的コミュニケーション、指示、お互いの判断力を重視する
高い
→マネージャーの関与を最小限に・・・目標を設定し、モニターする
効果的なマネジメントをするためにも、部下のことを知り、部下に任せる仕事の難易度や特徴を把握しておくことがマネージャーとしてはとても重要ということでしょう。
1984年くらいに書かれた本らしいのですが、マネジメントの本質は変わっておらず、普遍的にこれからも読まれるであろう名著です。
これらを意識しながら、自分の仕事のスタイルのステージを一段上げていきたいと思います。